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田中安平教授が訴える「介護の専門性」プロを目指すための指南書をお薦めします。

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「プロの介護福祉士を目指すあなたに ―介護福祉援助技術を身につけた介護福祉士の専門性と援助法について」

介護の専門性とは何か? 本当のプロになるための指南書

本書は、世界一の高齢社会にある日本において、更なる転換期を迎える医療福祉業界をみて、確立したとは言い難い状態が続いている介護福祉士を捉えて、その中で、理想と現実の間で葛藤しながら必死に介護現場を支えている現状を見据えて解決策を説いています。
長年介護現場に携わってきた大学教授である著者が、介護福祉士に求められるコアとなる専門性として、体系化された「介護福祉援助技術」の存在の必要性と、その実践における土台となるケアカウンセリングマインドの重要性を提唱し、豊富な事例を通してケアカウンセリングの実際的活用法を考察しています。

まえがき(本文より)

1987年に「社会福祉士および介護福祉士法」が成立し、無資格で、誰にでもできると思われ、そのようにいわれ続けていた介護現場に介護福祉士という国家資格を保持した専門家が誕生しました。これで、専門職業として、未来はバラ色になるはずでした。ところが、実際はどうかといいますと、国家資格を所持した介護職員が誕生して20年以上が過ぎたというのに、介護現場はいまだ混迷の中にあります。
要因が、名称独占という資格形態にあるにしても、全労働者の中で特に離職率の高い職場に位置づけられている事実を考慮するとき、何らかの重大な欠点が介護現場の中に隠されているのではないかと疑わざるを得ない状況が続いています。
 熟慮のなかで真っ先に思い当たるのが、“介護福祉士という国家資格保持者が、いまだプロの職員として社会に認められていないのではないか”という点です。「介護福祉士と1級ヘルパー、もしくは実務経験10年以上の無資格者との専門性の差異(つまり技量の差異)はどこにあるのか」。これは、専門性に関する論議の中でよく口にされる言葉です。
ところが残念なことに、これまでこれらの疑問に対して、介護福祉士の職能団体や介護福祉士養成施設から明快な回答がなされることはありませんでした。
本論では、このような疑問に対する回答を見出そうと、いまだ自明のようでありながら明確に構造化されていない介護の専門性(「介護」と「介護福祉」の名称の差異等)について、介護福祉援助技術という体系を構築する中で論じるとともに、事例をもとに具体的な援助方法について論じています。
プロの社会では、努力するものとそうでないものの差異は、年棒はもちろん1軍から2軍へと格下げされることをも意味しているのです。これがプロの社会の厳しさです。それは介護福祉士にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。しかし、福祉の職員はその厳しさをどれほど理解し、どれほど自分に努力目標を課しているのでしょうか。自己反省する必要があります。国家資格が誕生してすでに20年以上が過ぎているのですから。
本書は、実践の場である介護現場において、介護福祉士という国家資格保持者内の差異はもちろん、国家資格保持者とそうでない人々との援助内容において明確な技能差を生じさせ、介護現場内外においてプロの介護福祉士とそうでない者との力量の違いが明確になることをめざして、筆者の博士論文を編纂し直しました。本書が介護現場で勤務する人々の就業意欲をかきたてる一助になりますことを祈念いたしております。(略)
参照) ラグーナ出版

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