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生活支援員スキルアップセミナー

サイエンスとアートの融合が介護の哲学に繫がる要素となる。

                                                                                               2019.12.10
サイエンスとアートの融合を目指す専門性
援助内容が利用者に望ましいものに繫がるかは利用者の主観に影響を受ける。医学・看護学におけるサイエンスとアートの考え方で捉えると、科学は診断と治療を提供し、アートは心身の安らぎを目指してケアを提供するものである。科学は病巣を持つ不健康な状態にある疾病を扱い生命の長さに関係がある一方、アートは身体の具合が悪いと感じる患者の意識、病気を扱い生命の質に参与する。
日野原重明氏は、対象者がもつ、体質や価値観、死生観を認識したうえで、最もよい形でマネジメントすることが必要であるとしています。また、「科学の基礎に立って,患者に心温かくアプローチして、患者の生きがいや死生観をも洞察した上で、その患者を全人的な立場からどうマネジメントすればよいかということを考える。これは、科学を超えたアートの領域に属することと言える。」と述べている。また、近年、EBM(Evidence-Based Medicine)の必要性が問われており、臨床判断にもその考えは不可欠になりつつあるとし、EBMは、評価のし難いQOLを科学的に基礎づけることだという。
サイエンスとアートの関係を考えると、お互いの融合を目指すことが重要であり、これが介護の哲学に繫がる要素となる。

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葛藤を生きる心
人は、欲求不満や葛藤による破局を予感すると不安になる傾向がある。そのような状況では、不安を前もって避け、自己を防衛しようとして防衛機制という反応が生じがちである。介護に携わるものは、利用者の葛藤を自分のもののように捉えることが大切であり、利用者の葛藤を解決しようとして努力するなかで、解決への道が見えてこないと葛藤が生じてくる。この葛藤は二次的に発生したものであり防衛機制と異なる。大切なことは、葛藤を生きる心を育てることであり、利用者と接する中で見えてきた「なぜか」への問いを問い続けることである。ここでは「言葉で納得を得よう~」「話をして落ち着いてもらおう~」という言葉を介在するコミュニケーションを行わず、感情を言葉に乗せておこなうコミュニケーションを用いることが大切であった。具体的な目的がある訳でなく、衝動から生じる不満や葛藤に対するコミュニケーションでは、感情を伝達することが常用であることを学びました。

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田中安平教授 キュアとケアの関係性および認知症ケアで生じる葛藤について事例を挙げてご教示頂きました。年末のお忙しい中、ほんとうにありがとうございました。