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~ 認知症 基本の「キ」~

ニコニコタウンきいれでは、「認知症ケア」のスキル向上に積極的に取り組んでいます。
本年度は当社の長年の夢が叶いました。
認知症ケアの第一人者であられる、黒野 明日嗣(くろの あすつぐ)先生から直接ご教示いただけることになりました。しかも、シリーズで開催いただけます!!

2022年5月31日(火)第一回 黒野先生による認知症ケア社内研修が開催され、題名:認知症 基本の「キ」としてご講義いただきました。

黒野先生は脳神経内科医師としてキャリアを積んで来られ、電気生理学の研究に取り組んでおられます。公益財団法人慈愛会 介護老人保健施設「愛と結の街」で施設長として医療と認知症ケアに尽力されてこられた傍ら、認知症に関する啓蒙活動にも積極的に取り組んでおられます。2021年度まで、いづろ今村病院 院長をなされ、現在は、済生会病院神経内科専門医や認知症疾患医療センター谷山病院などで活躍されておられます。黒野先生を一言でご紹介しますと、認知症の臨床・研究・啓蒙にご尽力されている認知症ケアの第一人者です。

受講者は、生活支援員、理学療法士、看護師、ケアマネジャー、相談員からなり、総勢70名でした。ニューノーマルな対応として、第一会場43名、第二会場27名をネット中継し、二会場同時に進めました。

~ 認知症 基本の「キ」~
高齢者介護・地域医療に携わる専門職にとって、認知症は身近な病気である一方、大きな課題でもあります。
残念ながら、認知症は現代の医療では治せず、進行を遅らせることしかできません。そこで重要になるのが対処法です。認知症の基本的な関わり方でありながら、臨床を重ねないとみえてこない、基本的でありながら深く難しいカッコ書きの「キ」に関するご講義でした。

黒野先生は、支援で最も困るBPSDを例に挙げられ、認知症ケアの本質として、「すべての行動には意味があり、問われるのは、すべての行動を理解しようとする視点と努力にある」と、取り組むための基本的な心構えを力強く説かれました。

「ベテラン職員であるならば、スムーズな支援ができるかもしれないが、経験の浅い職員では対応は難しく、日々の学びに掛かっている」と勉強の必要性に触れられ、専門書などで解決策を学ぶべきだと、読むべき専門書を挙げて、学ぶ方向性を示してくださいました。

次に、BPSDが起きるプロセスについてご説明くださり、「新しい記憶の保存が難しい」「常に不安がある」ことについて、事例を挙げてヒューリスティックな解決法をご教授いただきました。

ヒューリスティックで考慮すべきは認知症の方の行動です。人は意思決定するとき過去の経験を基にする傾向があり、複雑な決定では経験則に従って結論を出す傾向があることを事例に基づきご説明くださいました。臨床に紐づいた理論として、過去の話に含まれる行動に繋がるヒントと答えを、ヒューリスティックな解決法を交えてご教示いただきました。ご家族に昔の話を聞き生活歴を十分把握することが良質な認知症ケアの入り口だと深く理解しました。

支援における声掛けは、「もっと知りたい」が自然に出てくることが大切になり、「表情」をみながら「はまる言葉」を探る視点が問われることを学びました。

認知症の方に触れるチカラ加減についてご説明いただき、5歳児程度のチカラで動いていただけない場合、その行為は「したくない事」であることを学び、声掛けは「表情」をみながら気持ちを探ることだと理解しました。当社がケアを統一しようとしていることについて、ケアの統一は必要ないこともご教示いただきました。

過去の生活歴や習慣などは、ご家族との会話の中から得られ、どうしてそのような行動をとるのかを推測できることを学びました。生活歴の把握がヒューリスティックな解決法の精度を高め、質の高い認知症ケアに繋がることをご教示いただきました。

最後に、受講者から認知症のスペシャリストであられる黒野先生に沢山の質問がありました。
黒野先生のお言葉は、認知症の解決方法には「これ!」というモノは無く、それぞれに合わせたケアを「探り」「みつけて」試行錯誤していくことが基本の「キ」になることでした。
多くの臨床を経験し、日々学び続けることが大切だとの回答に、職員からは拍手が起こりました。

今回の研修を終えて職員から、
・認知症の行動は職員にとって困ることが多いです。その為、行動の意味を考えず、その場しのぎの対応になっていた事を反省しました。
・行動としてみるのではなく、どうしてその行動が起こっているのか、不安を理解しようとしていきたいです。
・認知症の方が感じる感情は、我々と同じだという事を意識し、不安に寄り添っていきたいと思いました。
など、日々のケアを見直し、反省し、関わり方を改めたいとする意見が多く聞かれました。
認知症ケアは、日々関わり、勉強し続けることでスキルアップに繋がります。今日から学び直しますという意気込みがありました。

今回学んだ事を現場で活かすのはもちろんのこと、人に教えられるくらい臨床を重ねてもらいたいです。

黒野先生、今回は本当にありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。

※研修は出席者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒・室内換気を徹底し行っております。