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第9回 新入社員研修カリキュラム Web研修

前回講義 新入社員からの質問

「仕事仲間と上手に連携ができません。」「プライベートと仕事のバランスが分かりません。」という新人スタッフならではの悩みがありました。

田中先生の回答

社会人になりたての頃は、人見知りがある方が多いことに触れられ、自己覚知により、自分は何ができて、何が苦手であるかが分るとお話しになり、認知症の方との関係性も同じで、仕事で「役」を演じることで利用者との人間関係が築けるようになることをご説明いただき、自己覚知で自分自身を判断できると学びました。人間関係と自己覚知は、スタッフ自身のことでもあり、時々、笑いのある楽しい講義となりました。
人は他者との関係性の中で成り立っており、関係性は、適切なバランスを保つことで維持されていることを学びました。稀に、お互いの尊厳と尊厳がぶつかることがあり、問われる解決策が、「倫理」というルールであり、人の尊厳に十分配慮できることがプロの仕事人として問われることを、事例を挙げてご説明いただきました。

第1部「ご飯食べたくない」という利用者への声の掛け方(演習)

「ご飯は食べたくない」という利用者を事例として、適切な声掛けについてご講義いただきました。
施設に入居されている利用者は、毎日同じ生活を繰り返しているようにみえても、それぞれ異なる大事な一日で、記憶や知的機能が衰えているようにみえる認知症の利用者でも、感情機能は衰えていないことをご講義いただきました。一方、嫌な気持ちや不快な気持ち・放置されたことは覚えており、この気持ちが蓄積すると、行動異常や妄想などが悪化し悪循環に陥りやすく、大事な一日であることを深く理解したうえで関わることを事例で学びました。
利用者は、自身の感情・気持ち・身体の変化を様々な方法で職員に伝えます。空腹であっても、単なる空腹ではないことがあり、影響を及ぼしたと考えられる行動や気分など、何が起因して食事を食べたくないのかを知る必要があります。介護の現場では単に言葉だけを受け止めるのではなく、その言葉の裏に含まれた意味や思い、或は、考えが含まれているかを引き出すコミュニケーション能力が問われることを学びました。

バイスティックの7原則における受容でみると、単に「食べたくない」という言葉を受容するのではなく、なぜ食べたくないのか、その本心にたどり着ける受容とは何であるかを検討することが重要になるとご説明いただきました。
コミュニケーションにおいて、相手の考えや価値観に立って「受容」「傾聴」「共感」を意識しながら理解しようとすることをカウンセリングマインドといい、受け止めようとする意識から成り立っていることを学び、発語できないケースでは、例示しながら確認を行うことで、拒否した原因が分かるように、カウンセリングマインドをもって関わる重要性を学びました。
「ひょっとしたら」と考えることが大切で、相手の立場になってどのように対応すべきかを考えることで原因にたどり着けることをご教示いただきました。

100人居たら100通りの関わり方があり、それぞれに違いがあるといわれます。利用者には違いがあることを働く方は十分理解する必要があるとおっしゃられ、プロとして仕事をするには、自分だけの経験や知識だけでなく、追体験することで自分が経験したことがない体験が経験できることを学びました。

スタッフからは、プロの生活支援には何が必要なのか、「ありがとう。あなたのおかげで良い人生をおくることができました。」と、喜んでいただけることを目標にしたいとの意見が聞かれ、対人援助は、自己覚知することで、苦手なことでも利用者の方に喜んでもらうことにつながるので、ぜひ取り組みたいとする意見が聞かれました。利用者をよく観察し、深く考えた支援の必要性をご教示いただきました。

田中先生、本日はありがとうございました。

※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。