第10回 新入社員研修
「介護の専門性」
介護の関係性については、介護を行う「介護者」と「介護の受け手」利用者における介護関係の成り立ちを見てみると、「応ずる主体→支援者」と「求める主体→利用者」において両者の関係性は成立していますが需給関係(受容と供給)においては、「する主体」と「応ずる主体」という関係になると言われています。福祉の現場で注意すべきことは、支援者が「してあげる」感覚に陥りやすいことです。現場に慣れてくると利用者様のお願い事も「ごめん待って、今忙しいから」と平気で言うようになります。しばらくしてから「あのまだ時間出来ませんかね」と再度利用者様にお願いされた時に「あっ、ごめんなさい。忘れてた。」というようなことに繋がります。また、忘れていたことに関して普通であれば「すみませんでした」と謝罪を行いますが、日常的に慣れてしまうと謝罪すら忘れてしまいますので、このような事が無いようにきちんと、支援者が上の立場にならない意識を持つことが大切ですとご指導いただきました。ニーズへの対応では、ニーズすなわち必需の為、利用者様にとって無いと困ります。利用者様の立場は、支援者がいないと困る立場にあります。利用者様からのお願い事に対しても「忙しいから」と支援者に言われると「あとからで良いですよ」と利用者様が遠慮をするような事が起こってしまい、これが日常的になってしまいます。「する主体」と「応ずる主体」は自然と成立するので、支援者が上の立場になった感覚になりやすく、気を付ける事が重要です。
「求める主体」と「受け取る主体」
もとより介護は、一般的に言って「ニーズ」への対応であり、単なる「必要」への対応というものではありません。ニーズとは単なる「必要」ではなく、切実性の高い「必需」という意味があります。この必需性ゆえに、介護は支援者がつい、してあげる感覚になる恐れがあります。だからこそ、「求める主体」であり「受け取る主体」である介護の受け手の身体もしくは精神の状態は介護を必要とする状態にあります。これは本人の価値観を言っているのではなく、何らかの手助けを必要とする状態であり、他者の援助と利用者の残存能力を合わせたところでなされる生活行為をプラスの状態です。自分で生活が出来たら介護関係は生まれません、出来ない所があるからこそ「お願いします」と依頼されます。手伝って下さいとお願いされる方に対してお手伝いするのが私たちのお仕事です。支援をする際には、自分の価値観ではなく、相手の価値観に添って支援をします。相手の価値観が分からない場合は「これでよろしいですか」と確認します。このように少しの配慮や気遣いが介護の専門性に必要です。
介護技術についてお話がありました。食事に関しては、食べ物を口に入れると、どの様に食堂へ運ばれていくのか、喉の仕組みや介助を行う際の座る位置、患側健側の座る位置など安心・安全な介助の方法をご指導いただきました。介護技術にはたくさんの知識と技術の習得が必要とされます。専門性を高める為にも、多くの知識を学び介護についての専門的な知識をご家族様にもお伝えできるようにご教授頂きました。
今回のカリキュラムにて、介護の専門性について学びを深める事が出来ました。
利用者様の価値観を尊重し、本人が出来る範囲を理解した上で介助をおこなう大切さを改めて学ぶことが出来ました。介護現場では「してあげる」の感覚に陥りやすい為、「ご支援させて頂く」ことを意識し、利用者様の生活が幸せを感じて頂ける介護サービスを提供できるように取り組んで行きたいと思います。田中講師よりご指導いただいたことを活かしながら日々頑張ります。
田中講師、本日はありがとうございました。
※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。