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第14回 新入社員研修

主体性の尊重

主体性とは、人の命は地球より重いと言われるように、命の価値は健常者も障害者も変わらない。生活を自分の意思で選択、決定する事を主体性といいます。自分の人生はこのように送りたい、何を食べたい何を飲みたいと全部自分で選択・決定して主体的に生きています。他者から誘導されて生活をしているわけではありません。主体性を尊重するという事は、要援助者(利用者)が自分の生活を自分の意思で選択・決定することを認める事が主体性の尊重となります。言葉で主体性の尊重とはと耳にしますが、何かあったときには、職員が「そんな事したら危ないから○○した方が良い」と職員の価値観で判断をしてしまう事があります。本来ならば本人が○○したいと希望があったとしても「いや、それは身体に悪いからやめた方が良い」と判断した場合、主体性を尊重している事にはなりません。私たちは、本質的に利用者が最後までどのような人生を送りたいかを見極めたうえでサービスを提供することが求められます。

ニコニコタウンきいれ   ニコニコタウンきいれ

糖尿病の疾患がある利用者の方が「甘いものが食べたい」との要望があったとします。医療の専門職はあくまでも病気を良くするために管理を行い、「甘いものはやめた方が良いです」と本人の要望を医療の倫理としては、病気を治すことが専門性になるため、聞き入れる事が出来ません。コーヒーとケーキが出る茶話会に参加したとしても「あなたは、糖尿病があるからお茶だけで我慢が出来ますか」と言われたとします。これは医療の立場から考えると当たり前の行為である。しかし、生活支援員の立場で考えた場合、QOLの向上を考えた時に「ここまでだったら大丈夫ではないか」と判断が出来たら対応も変わってきます。判断が出来ずに勧める、「甘いものはダメ」という考えは素人の考えと同じになります。専門職のプロであれば、いまこの人の糖尿病の状態であれば「これ位であれば大丈夫ではないか」と医療職の医師や看護師に確認して本人の要望に寄り添い、たとえ糖尿病があったとしても、みんなと同じように楽しく過ごせる時間を考える事が重要である。主体性を尊重する事は、利用者が自分の生活を自分の意思で選択・決定する事を認める事であり、生活支援者の「真の主体性の尊重」とは、提案する技術があって初めてできるものであるとご教授頂きました。

平等=均一という誤り

施設ケアにおいては、平等という名のもとに、利用者すべてに同じ内容のサービスを提供しようとする傾向が見られますが、これは誤りになります。食事量に関していえば、大きな身体の利用者がどんぶりでご飯を10杯食べる人と、小柄な小さな身体の利用者がご飯1杯しか食べない人と、両者に同じだけのご飯の量を提供するとすれば、前者を基準に提供されると後者にとっては満腹を通り越して拷問となり、逆に後者を基準にした場合は、前者は食事制限を通り越して、断食をさせられていると感じるほどの拷問となります。平等とは全ての人に同質のサービスを提供する事ではないとお話がありました。

ニコニコタウンきいれ   ニコニコタウンきいれ

平等とは、提供する内容をそれぞれの人に合わせて変える事が平等となることを理解する必要があります。利用者一人ひとりに違いがあるように、提供する中身を一人ひとりに応じたサービス内容を変えながら、満足度が同じになるサービスの提供が求められます。次に、公平とは均一に対応する事ではなく、同じように接するという意味でもありません。介護保険下の要介護度に違いがあるように、ニーズへの対応という意味からすると提供されるサービス内容に違いを設ける事が公平になることを学びました。福祉的なニーズから考えた場合、必要性と必需性のある内容を両者の求める欲求を公平に捉えると、違いが生じるのは当然ですが、限りない欲望に対して公平とは、内容を均一にすることであると理解しておくことが大切であるとご教授頂きました。

今回のカリキュラムにて、主体性の尊重と平等について理解を深める事が出来ました。利用者様の訴えに対して、出来る限り利用者様のニーズと向き合い、多職種との連携を図りながら満足していただける支援を行っていきます。専門職としての意識を高め、出来ない事よりも出来る事を考え、利用者様一人ひとりに合ったQOL(生活の質)の向上に向けて、自己選択・自己決定を大切に今後、利用者様との関わり深めていきたいと思います。また、平等についてでは、ついつい同じようなサービスを提供しがちでありますが、今回の研修で学んだことを活かしながら、利用者様が納得して頂けるサービス内容を考え、質の高いサービス提供に繋がるように頑張っていきたいです。

田中先生、本日はありがとうございました。
※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。