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新入社員社内研修 第4回

~認知症を患う人へのケアにおける原則~

認知症の方へのケアにおける原則で、アセスメントの視点は2つあります。①尊厳という視点:認知症になる前、今もしっかりあるその方の人生や誇り・プライド・自慢があります。②症状という視点:認知症になった後、疾患・症状から分からないことや生活上の障害があります。

尊厳という視点

人は1人では生きてはいけません、多くの方々から大切にされて人は生きています。その感謝の気持ちや心を胸に思いながら日々生きていく、その積み重ねが尊厳になります。例えば部活動や趣味を一生懸命やっていた時の誇りを他者から「たいしたことないねぇ」と言われたらどうですか、気持ちにムカッと来てしまいますよね。自分として大事にしていたことを軽く扱われた時に心が傷ついてしまいます。尊厳とは、「人格に関わる、なに物にも優先し、ほかのもので取って代わることのできない絶対的な価値である」とお話がありました。

次に事例を挙げて尊厳についてグループワークしました。古城講師よりコミュニケーションを取る際に、情報を活かし関係を持つことで円滑になるとアドバイスをいただきました。例えば、入所された利用者さまのお名前を呼ぶ際に、「○○さん」と名前だけを呼ぶのではなく、「◇◇(仕事や仕事場)で働いていた○○さん」と付け加えるだけで相手の方の反応も変り関係性が良好になります。認知症を患っていらっしゃる利用者様もこのような自慢になる情報を活用して関わることが大事であるとご指導いただきました。

実際に情報を活用して花子さん役と支援者役に分かれて花子さんの「秘めた思い」や「大切にしている誇り」「自慢話」「プライド」について3分間のロールプレイをおこないました。花子さん役の新入社員から話を聞いてもらえて気持ち良くなったと感じた社員が多く利用者の気持ちを感じ取ることができました。

症状という視点

認知症は脳の病気です。病気によって萎縮する部位に違いがありますので、症状にも違いがあります。アルツハイマー型認知症レビー小体型認知症血管性認知症など原因や特徴がそれぞれに違いがある事を理解することが出来ました。また、不安、抑うつ、徘徊、幻覚、暴言などの周辺症状BPSD)認知症の行動・心理症状について関係性の悪化や尊厳が傷ついてしまう出来事。薬の副作用・体調不良によって引き起こされる怒りや・悲しみ(心理)とそれに伴う症状について学びました。現場で利用者様と会話を行っていると、急に表情が険しくなる、落ち着きがなくなるという現象がこれまでに多く見られました。

海馬は記憶を司る所です。その海馬が委縮すると「ご飯を食べたことや、ここに来た理由などの記憶が残らず、私は分からないがみんなは分かっている。そんな私をみんなが馬鹿にしている」とご利用者さまは思ってしまうとのお話がありました。気持ちのズレが生じて怒りや悲しみなどの周辺症状が現れる。そのような方には、その人として尊重するコミュニケーションから始めることで効果的・効率的な良い関係性が築けるとお話がありました。

今回の研修では、認知症について学びを深める事が出来ました。1人ひとりの尊厳の大切さや、認知症になった時の相手の立場や気持ちを感じることが出来ました。記憶ができない事の不安や悲しみ怒りなど様々な感情で毎日過ごす事を知り、私たち生活支援員としての関わり方やこれまでのコミュニケーションで、なぜ上手く出来なかったのか今回の研修で振り返り、自分の間違った方法など気付く機会を提供していただきました。今回学んだことを明日から活かして利用者さまがいつも安心して喜んで頂けるコミュニケーションを心掛けます。

古城順子先生、本日は本当にありがとうございました。

※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。