新入社員社内研修 第5回
最後までケア
~その方の物語を大切にしよう~
第5回社内研修、古城順子講師より「命について考える:看取りケア」についてご講義をいただきました。
自分が脳梗塞で倒れ、寝たきり状態になった時、また自分の意志ではなく、知らない施設に入居する計画になっていたらとしたらどの様な気持ちになるかグループワークをしました。新入社員から「自分でしたいことが何もできなくて怖くて不安」「自分で何もできなくてこのまま寝たきりになる不安」などの意見がありました。たとえ寝たきりになったとしても人間には知る権利があります。しかし、年齢や、認知症、病気などの症状でこの権利を簡単に奪われてしまいます。ご利用者さまご本人にとっては希望を失い役割も無く「死んでしまいたい」と感じてしまいますとお話がありました。
私たち介護・福祉に関わる仕事は「近い将来亡くなってしまう歳を取られた方をケアする仕事」です。「亡くならないようにするケア」をするのではありません。どう亡くなるのか、最後までどう生きるかをケアする仕事であり、思うようにいかないのが人生です。でも、これまでに何か目標を持って、頑張って生きてきた方々の、大切な事は自分で決めること。なぜなら自分の人生だからこそとご教授いただきました。
「死んだ方がまし」と言われる利用者は、本気で死にたいと思っているとの話題がありました。本人にとって、生きるという事は、「辛くて苦しいもの」であるとお話がありました。この方の気持ちを聞き、生き方を肯定することで、本人は前を向くことができます。つまり相手の思いを聞いてくれる人がいなければいけません。是非とも沢山の会話を通して聞いてみてください。その方の人生、最後までどの様に生きて行きたいか?最後はどの様に迎えたいか?利用者はこのようなお話を聞いてくれる人を待っています。相手の話を聞きながら死に対しての気持ちと向き合うことは、相手の気持ちに寄り添い相手の立場になって望む人生はどの様なものかを考えることに繋がることを学びました。
人生の「終末」
人生会議(Advance Care Planning)にて、将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養についてあらかじめ話し合う事の大切さのお話がありました。もしも心臓がパタッと止まったらどうしますか?心臓マッサージしますか?もしもご飯が食べられなくなったら?古城講師より「鼻からチューブを入れたいですか?」の質問に手を挙げる社員はいませんでした。「これが、自分の意思です」とお話がありました。自分の意思に関係なく様々な事が決められ、気が付いたら本当に本人が望んでいた事なのかを考えなければいけません。そのために、事前に文字にして意思表明をしておく必要があります。人生会議では ①将来に向けて、ケアを計画するプロセスを考える。②個々の気がかり、価値観を引き出す。③治療の選択だけでなく、全体的な目標も立てる。④家族も含めた話し合いをする。⑤アドバン・ディレクティブ(事前指示)も含む。⑥自分一人ではできないことがたくさんあります。人生が終わりに近づきた時に過ごしたい場所、本人が望む暮らしや今後大切にしたいこと、家族等の大切な人に伝えたいこと、延命治療の希望など事前に本人の意思表明を聞いておくこと。この6つをしておくことで、本人の望む生活を送る事が可能となる事を知りました。利用者様のそれぞれの人生を振り返り、誰もが迎える人生の「終末」残されたこの貴重な時間をどう生きるか、またチームで心を合わせて豊かに生きて頂ける支援がおこなえるようにこれからも頑張りたいです。
今回の研修では、看取り介護・いのちについて学びを深める事が出来ました。終末期を迎える利用者様の人生に私たちは関りを持たせていただいております。利用者様の意思の尊重と講義で学んだ本人の望む人生を考え、利用者様の思いに寄り添うケアを提供できるように今後、頑張っていきたいと思います。新入社員からは、「今後仕事をしていくうえで、看取り介護に関わる機会があると思います。今回の研修で、より看取り介護についてご家族様の気持ちや利用者様の気持ちを理解すること、後悔のない人生を送ることのできる支援を学んだので頑張ります」と前向きな感想がありました。
シリーズ計5回開催された新入社員社内研修も本日で最後となりました。これまでに研修で学んだことを活かし、現場で学ぶことを組み合わせて、ご利用者様に満足していただけるサービスを提供していきます。
古城裕喜先生、古城順子先生、本当にありがとうございました。
※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。