第6回(最終回) リーダー研修 2023
残りの人生をご本人と一緒に考える
第6回社内研修(最終回)古城順子講師より「残りの人生をご本人と一緒に考える」をテーマにご講義を頂きました。命が最後の時にどのようにお見送りをしますか?自分たちにとっても利用者様にとってもとても大切な時間です。この限られた時間を出来る限り自分の人生の経験、また忘れられない時間であったと思えるような関わり方が求められます。
古城講師より、もし自分が「利用者・患者A」だとしたら話の分かる専門職に何を訴えたいですか?Aさん75歳2週間前に脳梗塞、右片麻痺、嚥下障害、言語障害、気がついたら鼻から経鼻胃管が挿入されている。ちょっと管が動くだけで、喉から胃のあたりまで違和感や痛みがある。顔面にテープを貼られて気持ちが悪い為、触ろうとすると頼みの綱の左手まで固定されている。注入の時のギャッジアップが2時間以上で腰が痛い、でも「痛い」と言えない。ナースコールも押すことが出来ない。2ヵ月後は知らない施設に入居する計画が、専門職と家族の間で話し合われている。もし、自分がこのような状況であった時に何を訴えたいですか?この質問に参加者から「自分で自己決定して行動したい」「勝手に色々な事をしてほしくない」「今の状況を自分も知りたい」などの意見がありました。自分事として考えた時に本当につらい状況と感じます。自分の人生だからこそ自分で決めたい。
これまではご家族の意見で今後を決めていましたが、平成30年頃より人生の最終段階における医療・ケアにおける意思決定のガイドラインが出来ました。権利を奪っていた時代から、ご本人の意思で今後を決める時代へと変わりました。私たち専門職は、近い将来亡くなる方を、どう亡くなるのかをケアする、最後までどう生きるかをケアする仕事です。思うようにいかないのが人生ですが大切なことは、どう亡くなりたいかを聞いておく必要があります。本人の望む人生に近づけて残された時間を積み重ねて行く事が大切であると古城講師よりご教授頂きました。
スウェーデンやオランダなどの福祉先進国は、ナーシング付き住宅(施設)で3割の人が看取られ、自宅においても2~3割の方が看取られている状況です。日本は文化的に自宅での看取りが極端に少ないですが最近では、最期を自然のまま迎えたいと希望を持っている方がほとんどであり「どうか人工呼吸器をつけて下さい」「お願いですから胃ろうにしてください」と言われる利用者様と出会ったことがないと古城講師よりお話がありました。
もし自分が亡くなるとしたら、どの死因で亡くなる予定だと思いますか?の問いに自分の事として考えてみました。これは人生は思いどりには行かないからこそ、事前に周りの人に伝えておく必性があります。最期をどのように迎えたいかをしっかりと話し合い、相手に伝え、また相手の事を理解しておくことが大切です。人の命は生物学的には、身体は自然と代謝を終えようとし多くのエネルギーを必要としません。「死ぬのだから食べない」「食べないから死ぬのではない」人間は死んでいく力を持っています。死んでいく力を阻害しないで、発揮できるようにするのが私たちの務めでもあります。「QOD 死の質」(クオリティーオブデス)死のあり方や死を迎えるまでの過程、死の迎え方などを意味します。私たちは死の質を高めて行く事を日々考える事が求められます。死はギリシャ語で「完成」「目的」という意味を示します。私たちが生きてきた意味や価値を誰かが認める手助けが必要とされ、人間の尊厳は有限性(死)にあります。人は死を意識する事ではじめて、有意義に生きようと積極的になります。死とはかけがえのなさに気付く為にあるとご教授頂きました。利用者様は「生き方・死に方」について語り合える人を待っています。私たちは利用者様と向き合いどのような人生の希望を持っているかをしっかりと話し合い、本人の希望する最後を迎えて頂ける様に多くの関わりを持ち、お一人お一人の思いに寄り添いながら限られた時間を大切に取り組んで行きたいと思います。
今回のテーマ、看取り介護残りの人生をご本人と一緒に考える事について、改めて人生最後をどのような支援が必要か学ぶ事が出来ました。一日の限られた時間の中で一人ひとりの利用者様と向き合い、まずは私たちが利用者様の終末期においての希望をしっかりと理解しておくことが重要であると感じました。利用者様を中心にご家族様との多くの関わりを持ちご本人様が本当に希望する最後はどのようなものかを考えながら今回学んだことを活かしご支援させて頂きたいと思います。
古城裕喜講師、古城順子講師、第1回から第6回の研修最終日までお忙しい中、多くの学びをご指導頂き本当にありがとうございました。
※研修は受講者の体調・体温・接触管理・ワクチン接種・手指消毒等、室内換気も徹底して行っています。